「航空母艦決闘空間1942」-1 自作アプリ紹介

自作アプリ紹介: 「航空母艦決闘空間1942」

Unityでアプリを創り始めるときの最大の目標は、空母機動部隊同士の決戦のリアルタイムシュミレーションゲームを創ることでした。戦艦アプリ創って、潜水艦アプリ創って、他にも幾つか創った後で、いよいよ空母アプリの開発に着手しました。

開発ノートを調べてみれば、2016年の8月14日からフィージビリティスタディを始めています。数か月の中断時期を挟んでアプリ配信開始が2017年4月18日ですから、開発に半年近く掛かっています。1年後に機能強化したアップデートを配信開始しています。

マネタイズ的に残念な状況ですけど、空母機動部隊シュミレーションアプリとしては良い評価を頂いております。

今回はこの「航空母艦決闘空間1942」の開発について紹介させて頂きます。

本アプリのユーザーの皆様からの評価

「航空母艦決闘空間1942」は、たぶんPC版とか含めても、世界で最もリアルな体験ができる空母機動部隊海戦リアルタイムシュミレーションゲームです。決してシューティングゲームではなく、かなりマニアックなアプリとなっていますが、世界中で大変高い評価を頂いております。

AppStoreで皆様に頂いた評価の概要を紹介させて頂くと、「空母好きに最高」「たまりません、索敵を自分でできる幸せ」「空母海戦シュミレーターとしては唯一の存在」「紹介映像を見ただけで面白いと感じた」「索敵などここまでリアルなゲームは初めてだ」「あの南雲機動部隊を指揮できる」「リアルを追及する人にオススメ」等々。ありがたい評価を頂いております。

開発の動機

東宝特撮映画の影響が大きいでしょうか。何度も何度も同じ映像を使った複数の戦記映画で、ミッドウェイ海戦における南雲提督の判断により一日にして虎の子正規空母4隻を失うシーン。映画によるそのカタルシスの追体験があり、それに加えての、あの時、あれがこうしていたら、こうできていれば、の多くの「たられば」が気になってしまったことが開発の動機でしょう。映画「永遠の0」でもCGによる空母赤城が撃沈されるシーンの影響もあったかも知れません。数百キロ離れた海域に位置する数十隻の艦艇と500機を越える艦載機で構成される空母機動部隊同士の戦いをリアルタイムシュミレーションソフトで創るのは巨大なシステムを創り上げるのと等価なので大変なことは見えていましたが、やはりどうしても創ってみたいという欲求には勝てませんでした。自分でやりたいもリアルタイムシュミレーション世界を構築するというのが自分のUnityでのアプリ開発のビジョンですから。

開発の事前調査

まあ元々気になっていた歴史的事実ですので関連する書籍等はそこそこ持っていました。ネットとの情報を合わせれば必要な情報は持っていたということになります。まあ長いこと気にしてきたことに関してでないとリアルタイムシュミレーション世界の構築は簡単ではないですね。

歴史的事実の調査

1942年同時の日米の空母機動部隊の構成を調査し、当時の艦載機や艦船の性能を調べ、空母機動部隊の運用の考え方等を調べました。

攻撃距離はどのくらいで、作戦時間はどのくらいかかるのか、索敵の方法はどのように行われ、どのようなミスが発生していたのか等々です。この作業を通じてリアルタイムシュミレーションワールドに登場させる空母や戦艦や艦船の数をどうするのか、艦載機の種類と数をどうするのか、索敵機はどうするのか、どの距離でどう戦うのか等々を考えながら、この下調べ作業を続けました。

基本的な構成検討

空母機動部隊同士の決戦をリアルタイムシュミレーション世界で実現する場合のシーン構成を整理すると下記となります。

①初期作戦

②索敵作戦

③敵艦隊発見後の艦載機発艦

④敵艦載機攻撃部隊が味方機動部隊を攻撃(味方艦隊護衛戦闘機による迎撃)

⑤味方艦載機攻撃舞台が敵機動部隊を攻撃(敵艦隊護衛戦闘機による迎撃)

⑥艦載機攻撃部隊帰艦

⑦艦載機攻撃部隊準備

⑧第2次攻撃部隊発艦

以下④~⑦までの繰り返し。第3次攻撃部隊は日没となり無いとしました。

これを全部創るかどうするかは重要な判断ポイントとなりますが、結果として全部創ってしまいました。まあどうしても創ってみたかったからですね。

開発のポイントを絞り込む

調査した情報の中から、どの部分を、というか、実際に存在した人たちの中で、どの人の経験をシュミレーションしてみたいのかを抽出しました。

結果としては全然絞り込めなかったのですが、最初は索敵作戦を創ってみたいと考えました。雲海の中を飛行し、はるか下の海面を見ながら敵機動部隊を探すという、退屈なのだけれども、虎の子空母機動部隊の生き死にがすべてのしかかっている極めて重要な活動。

あまり詳しい訳ではありませんが、古今東西の空母機動部隊シュミレーションゲームで実際の索敵を経験できるものは無かったのではないでしょうか。サイコロとか確率での処理になるだけで、空母機動部隊決戦で一判重要な索敵作戦がちょっと無味乾燥なものになっていた。

ということでまずは索敵作戦のパイロットおよび監視員をシュミレーションすることに決めました。

この時点で、実際の雷撃機や急降下爆撃機による艦隊攻撃のリアルタイムシュミレーションはどうすれば創れるかは見えていましたので、最後は方針を決めて創るだけでした。一方、索敵をどうリアルタイムシュミレーションで創ると良いのかはあまり見えていませんでしたので、練習作成(FS:フィージビリティスタディ)を行っいました。索敵が最も恰好良い世界を構築するための努力です。

索敵作戦構築検討

自分の中の索敵のイメージは、雲海の中を飛ぶ索敵機から雲の間に垣間見える眼下の海面を探索し続ける作業です。このシーンの主役は「雲」です。結果的にはここでの検討作業の結果として、大変すてきな雲海シーンができてとても嬉しく感じています。

アセットストアでいろいろと雲を調べましたが、今回のシーンに適しているのは下記のアセット(3d photorealistic clouds)と考えて購入して使ってみました。

このアセットには幾つかの雲が入っていますが、ひとつの雲は7-8枚程度の平行配置されたテクスチャ付板オブジェクトで構成されています。見る角度からはとてもリアルな雲達になります。

結果的にはひとつひとつの雲オブジェクトにカメラ方向を常に向かせるビルボード処理スクリプトを記述して実現しています。細かな部分は幾つか調整していますが、基本はそういう創りとなっています。

下記のアプリ紹介ビデオの中で、2~6秒の索敵シーンの背景に見える雲は上記の方法で創っています。興味がある方は見てみて下さい。このビデオはiphone6plus上でアプリを動かしたときのキャプチャ動画で創っていますのでアプリそのものの動きです。

その他のシーンの検討

その他のシーン構成としてはアセットストアで販売されている下記のアセット内の日米の航空母艦、戦艦、巡洋艦、駆逐艦等や、艦載機、戦闘機等のアセットを活用して力技で創るということを行いました。

爆弾や魚雷等のアセットはパーティクル含めて自作しています。詳細についてはまた別途必要に応じて紹介させて頂きます。

終わりに

空母機動部隊同士のリアルタイムシュミレーションアプリとしては他に例をみないものを実現できたと考えております。ただ、どうしてこれがスマホ上なの?ということはあるでしょうけれど。

空母機動部隊同士の決戦は、多数存在するそれぞれの構成要素が複雑に絡み合った動作をするため、想像をこえる複雑さになってしまいました。アプリとしては何とか完成しましたが、今後はもう新たにこの規模のアプリは創らないでしょう。改善は逐次実施していきたいと考えておりますけど。

というアプリです。空母マニアの方であれば、お金も使わずに結構楽しめるようですので、ここまで読んで下さった方は是非挑戦してみて下さい。

以上

空母決闘空間1942